社長ブログ

エジプトのヨセフ

人生で、この人のようになりたい、この人のような生き方をしたいと思う人がいる。旧約聖書の登場人物エジプトのヨセフがその人だ。彼は、「命を救うために」(創世記45章5節)という人生の使命を文字通り実行して、多くの人々を飢饉から救った人だ。

ヨセフは若い頃、ドタンの地で人生のドタン場を経験している。彼は、異母兄弟たちの妬みを買い、17歳のとき奴隷商人の手にわたり異国の地に売られたのだ。旧約聖書創世記37:17-19に、兄弟たちはヨセフのことを、「あの夢見る者がやって来る。…彼の夢がどうなるか見よう」と言われ、まさに人生とともに夢が潰えそうになるドタン場を味わった。

ヨセフは奴隷として売られた先で、所有者に遣えることになる。彼の働きぶりは、主なる神に対して、家の主(あるじ)に対して忠実で誠を尽くすものであったが、それにもかかわらず、彼を待っていたものはもっと過酷な人生であった。冤罪の汚名を着せられ、終身刑に身を落とすことになったのだ。家の主から信頼を得ていた彼は、奴隷の身からの解放の望みを膨らませていたに違いない。しかし、待ち受けていた定めはさらに過酷なものであった。

この3月に行われた岡山理科大学の学位記授与式で述べられた祝辞に、孟子の「天は人に大仕事を任せるとき、必ず大苦境に陥らせる」の教えがあり、まさにヨセフはそのケースだと思った。 今回、尾羽打ち枯らす寸前のところで、東工大YVPの研究開発拠点を撤収し、わたしの事業で二度目の土俵際を味わうことになった。ヨセフのように、奴隷や囚人を経験したわけではないが、どんな状況にあっても天から大仕事を任されていると強く信じて、積層型静電アクチュエータ(発電素子)の研究成果をカタチにしていきたい。命を救うために。

 

写真は、仕事仲間のロボセンサー技研(株)大村昌良社長と

仕事仲間のロボセンサー技研(株)大村昌良社長と