社長ブログ

實吉敬二先生と

實吉先生と

實吉先生はこの春、東京工業大学准教授を退任され、当社の取締役CTOに就任頂いた。ぶつからない車アイサイトと人工筋肉の発明者でいらっしゃる。

初めてお目にかかって10年、先生のお話になる夢の技術に引力(ホントはずっと強い静電力!)のように惹きつけられ、研究開発をご一緒してきた。エンジン、モーターに次ぐ第3の駆動機構「静電アクチュエータ(人工筋肉)」である。

研究資金不足で心が折れそうになりながらも、実験成果が少しでも見えると、途端に春めいた気持ちになってくる。そのような感情の起伏を何度も味わってきた。しかし喜ばしいことに、最近は希望が確信に変わりつつあり、あまりぶれなくなった。

實吉先生の夢の技術を心に思うたび(ほぼ毎日のことであるが)、ミヒャエル・エンデの次の言葉が心に響いてくる。

「おまえどうやら自分の知らないものには価値をみとめたくないらしいな。幻想なんてほんとは存在しないって思ってるんだろ?きたるべき世界は幻想からしか生まれない。みずからつくりだすもののなかでこそ僕らは自由なのだ」サーカス物語(矢川澄子訳) p.192Das Gauklermärchen (The Juggler's Tale)

来たるべき世界は幻想からしか生まれない。この言葉は自分にとって二つの意味を持っている。一つ目は、すべてのものは二度作られる。知的な第一の創造があってはじめて、物的な第二の創造があるということ(實吉先生は20年前のある日、散歩中に静電アクチュエータの構造が心に浮かんだとおっしゃっている)、二つ目は、この人生を幻を見るものとして、言い換えればVISIONを持つものとして、すなわちVISIONARYに歩んでいきたいということである。それは、地球上のすべての場所がわたしたちの技術もあってバリアフリーとなっていることなどだ。

いつも、そのように、實吉先生の、そして今はわたしたちの共有するものとなった夢を結実したい